カメ吉先生の修養科物語

 TKさんは七十歳、でも年齢の割には元気です。修養科は二回目です。人生の経験も十分あり、修養科の経験もあるので、クラスの中では長老のような存在です。  若い子たちが騒いでいると厳しく注意します。TKさんの一言は重みがあり誰もが一目置く存在です。...
 うちの組係は一生懸命やってくれましたが、色々な事も思いつきました。三ヶ月目に布教実修というのがあります。その為に理づくりとしてひのきしんをすることになりました。その時二番の組係が突拍子もない事を思いついたのです。真柱宅の庭の掃除をさせてもらおうと云いだしたのです。修養科のひのきしん掛に聞いたら、もちろん却下でした。では何処かいつもは出来ない場所でひのきしんをさせてもらいたいとお願いし、西のスロープの下のいつもは開いていない場所の掃除をさせてもらいました。  また、クラス全員で十二下りの勤修をしたいと言い出したのです。でも、まだ全員が十二下りを出来る状態ではないと副担任の先生から待ったが掛かり、それではよろづよだけでも良いから、九〇四期全員で黒門の前でやりたいと言って来たのです。それでいろいろ掛け合ったのですが、黒門の前は許可が下りず、最終的には修養科の朝礼をする四棟前で九〇四期全員でよろづよを勤めることになりました。これは修養科生が独自でやることなので私は見守っていたのですが、引っ張り込まれ一緒にやることになりました。そして、人生で初めて胴上げをされました。テレビではよく見ますが、自分がされるとは思いもしませんでした。  また、おさづけの日が決まって、その前日一番の組係から「先生覚悟して下さい」と言われました。何のことだろうと思っていたら、組係三人揃って、「おさづけを戴く三人に、修養科の主任先生からお言葉を頂きたい」と云うのです。この頭だったらいくらでも下げるからと、色紙を持って一緒に主任先生の所へ行きお願いしました。主任先生は快く引き受けて下さいました。ついでに、組係にもとお願いしたら、さすがに断られました。彼らも諦めきれず、自分たちでひのきしん掛長の先生にお願いして頂いたそうです。
 KBさんは高齢でがんの手術をしました。MKさんは肺の病気です。二人とも重い身上です。  KBさんが修養科に入ったのは、天理の病院に通院するためで、自宅の静岡から毎週一回天理まで来るのは交通費がばかにならないからです。KBさんは現役の会長さんです。...
 OMさんは、右手の肘から先がありません。最初は暗い顔をして一人で行動していました。教養掛の先生から、ハッピの帯を結べないので、ベルトでもよいでしょうか、と聞かれました。男子の修養科生は帯を締めることになっています。帯をベルトに替えるには異装願いを出せば良いと説明し、その手続きをしました。...
 気の弱いHS君が、女子クラスの子を好きになりました。思い切って相手に声を掛けてメールを聞くと教えてくれたそうです。早速メールを送りましたが、返事が返ってきません。...
 朝礼の時、HK君は私の肩をたたいて、「あべっち、よっ!」と言って通り過ぎて行く。HT君は、私にカップのコーヒー(後には教科書の入ったリュックになったが)を持たせてハッピの帯を結ぶ。修養科生は常にハッピを着なければならないという規則があります。ただし夏の間は、授業とひのきしん、食事の時にはハッピを着なくても良いのですが。...
 一期講師の最初の仕事は、組係を決めることです。これは担任と副担任と相談して決めます。...
 直前研修会が始まりました。今日は担当するクラスと副担任が発表されます。周りの人達には、「絶対女子クラス」だと言われていたが、あに図らんや1組の男子クラスでした。男子クラスは三ヶ月の研修会での感話で暴力事件があったと聞かされたので、正直困ったなと思いました。...