健康で長生き

 ゆめちゃんはお母さんになりました。

 子供は二人、長女の陽(よう)ちゃんと、長男の真(しん)くんです。

 陽ちゃんは、陽気の「陽」と書いて「よう」と読みます。

 真くんは、真実の「真」と書いて「しん」と読みます。

 二人ともおばあちゃん(ゆめちゃんのお母さん)が名前を付けてくれました。ゆめちゃんも旦那さんも、「そのまんまじゃないか」と言って思わず笑ってしまいました。

 今は読み方の分からない名前が多いですからね。変わった読み方の名前かと思っていたのです。

 陽ちゃんは、ゆめちゃんの子供の時のように、何でも聞きたがります。

「なんで箸は二本なの」

「フォークの先はなぜ三本なの」

 ある時、陽ちゃんがゆめちゃんお母さんに聞きました。

「おかあさん、ようきぐらしってなに?」

「そうねえ、ハルおばあちゃんのように、健康で長生きすることかな」

 ハルおばあさんは、ゆめちゃんの母方のおばあさんで、九十歳になります。今でも元気で畑仕事をしています。陽ちゃんと真くんにとっては、ひいおばあさんになります。

「どうしたら、ハルおばあちゃんのように、健康で長生き出来るの?」

「ハルおばあちゃんの口癖は『朝起き、正直、働き』よ。『これさえ守っていたら何時までも元気でいることが出来るのよ』ってね」

「朝起きは、人に起こされるのじゃなく、自分で起きることが大事ね。陽ちゃんもおかあさんに起こされてから起きるのじゃなくて、自分から起きなくちゃね」

「正直は素直になる事、素直な人はみんなに好かれるからね」

「働きというのは、少し難しいかも知れないけど、はたとは周りの事で、自分の周りの人を楽にさせることが、はたらくと云うのよ」

「お手伝いをする事も、はたらくと云うの?」

「そうねえ」

 陽ちゃんは、ニコッとしました。