隣りの健太君がやって来ました。
「ナオじいちゃん、こんにちは」
「久しぶりだな、健太」
「何かと忙しくてね、と云っても最近はコロナの影響で暇になったんだ」
「健太のところもそうなのか?」
「うちは、補助金を貰っていろんなイベントをやっているんだけど、コロナ禍で人が多く集まるのは自粛することになって、仕事が急に減ってしまったんだ」
「うちの理事長はワンマンで、今まで自分ですべてを取り仕切っていたんだけど、急に『君たち良いアイデアはないかね』と言い出して、アイデアを出せと言うんだ」
「そうか、典型的なトップダウンだな」
「そんなこと言われても、なかなか良いアイデアなんか出ないよ」
「今まで理事長の言うとおりにしていれば良いと思っていたからね」
「思考停止状態になっていたんだな」
「僕も昔は、あんなことやったら良いんじゃないか、とか、ここはこうした方が良いものが出来るんじゃないか、とか考えたこともあったんだ。でもうちの理事長は聞く耳を持たず、すべて却下されたんだ」
「それからは、何も考えなくなってしまった」
「組織は、順調に行っている時はトップダウンでも良いのじゃが、行き詰るとトップダウンでは変革が出来ないのじゃよ」
「いま、世界中で同じような問題が起こっている、特に日本は古い考え方が残っているからの」
「これからは、一人の人間が考えるのではなく、多くの人の意見を取り上げて、経営や運営に活かしていくことが大事なんじゃよ」
「ただし、これには時間が掛る。みんなの思考停止を止めさせて、自由に考えさせて自由に意見を出させるようにしなければならないんじゃ」
「その方法としてファシリテーションと云うのがある」
「健太もファシリテーションを勉強してみたらどうじゃ」
「教祖はズバリ言うのではなく、相手に考えさせるような言い方をしたといわれている。優秀なファシリテーターだったとワシは思うな」
「分かった、少し勉強してみるよ」
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