男は左女は右

「トメさん、教会で月次祭のおつとめをする時、左側に男が、右側に女の人が居るのは何故だと思う」

「んーん・・・、分かりやせん」

「前回話したように、地図では東の方角は右に、西の方角は左に表示される」

「そして、男神のをふとのべのみこと様は西で左、女神のくもよみのみこと様は東で右」

「それだけではないぞ、男神の月よみのみこと様は北西で左側、かしこねのみこと様は南西で左側」

「また、女神のくにさづちのみこと様は南東で右側、たいしよく天のみこと様は北東で右側」

「つまり、男神は皆左側、女神は皆右側なんじゃ」

「へえ!不思議ですね」

「不思議でも何でもない」

「そこで、月次祭のおつとめはおてふりの六人のうち左側の三人は男の人が勤める、右側の三人は女の人が勤めるのだと儂は思っている」

「男鳴物の六人は左側、女鳴物の三人は右側」

「最後に、地方は左側だから男が勤めるのじゃよ」

「うちの教会は女が多いので、逆だったら良いのにね」

「前回は東西南北の話をしたが、今日はそれ以外の方角の話をしよう」

「十柱の神名の順で、三番目はくにさづちのみこと様で方角は南東、守護は人間身の内の女一の道具、皮つなぎ、世界では万つなぎ」

「南東の反対側は北西で、四番目の月よみのみこと様で、守護は人間身の内の男一の道具、骨つっぱり、世界では万つっぱり」

「対面している方角の守護は相補的になっている」

「相補とは互いに不足を補うことじゃ」

「皮膚は体の外側で人間の身体を守っている。周りには細菌等がウヨウヨしているが、感染しないのは皮膚のおかげなのじゃ」

「骨は体の中にあり人間を支えている。立って歩けるのは骨のおかげなのじゃよ。体の外と中、相補性じゃ」

「皮膚は女神の働き、女性の皮膚がすべすべしているのはそのせいじゃ」

「骨は男神の働き、男性が骨太なのはそのせいじゃ」

「次に、北東はたいしよく天のみこと様で、守護は出産の時、親と子の胎縁を切り、出直の時、息を引きとる世話、世界では切ること一切。南西はかしこねのみこと様で、守護は人間身の内の息吹き分け、世界では風」

「切る働きの反対は呼吸で続くこと。呼吸が切れたら出直してしまう、これも相補性じゃ」

切る働きは右側で女神の働き、呼吸は左側で男神の働き」

「だから、つなぐのも切るのも女しだい、奥さんしだいと云う分けじゃ」

「帰ったら、かかあに言ってやろう」

「トメさん、男は言葉遣いが大事じゃぞ。教祖の逸話で、『言葉一つが肝心。吐く息引く息一つの加減で内々治まる』と教えている」

「へえ、分かりやした」