すきま風

 最近インフルエンザが流行っていますね。みなさん気をつけましょう。

 ところで、お隣のトメさんも風邪をひきました。

 トメさん、風邪が治ったら、早速ナオじいちゃんの処へ遊びに来ました。

「ナオじいちゃん、なんで風邪をひくんですかね?」

「それはな、風邪をひくんじゃなくて、風を吹くんだよ。」

「えっ!それはどういうことですか?」

 風を吹くというので、トメさんもびっくり、普通は風邪をひくと言いますよね。でも、ナオじいちゃんの説明を聞いてみましょう。

「風が吹くと寒いだろう。大きく戸を開けていると寒いので厚着をするわな。でも、すきま風ならどうだろう、大したことがないと薄着のままでいる。そこで油断して風邪を引く事が多いのじゃ。」

「おみちの教えでは、病の元は心からと教えられている。風邪の元は不足する心からなんじゃ。」

「誰でも、不足する時は口をすぼめるじゃろ。口をすぼめるとすきま風が吹く。すきま風が吹くと風邪をひくというわけじゃ。杉良太郎はしょっちゅう風邪を引いているらしい、というのはうそじゃ。」

「わしは不足しないから風邪を引いた事がない。」

 実は、ナオじいちゃん十年以上も風邪を引いた事がないのです。

 おやさまは次のようにおっしゃっておる。

 『どんな新建ちの家でもな、しかも、中に入らんように隙間に目張りしてあってもな、十日も二十日も掃除せなんだら、畳の上に字が書ける程の埃が積もるのやで。鏡にシミあるやろ。大きな埃やったら目につくよってに、掃除するやろ。小さな埃は、目につかんよってに、放っておくやろ。その小さな埃が沁み込んで、鏡にシミが出来るのやで。』

「些細なこと、小さい事でもほっておくと大きな事になるのじゃ。」

「分かりました。これからは不足しないようにします。」