種をまく

 ゆめちゃんのお母さんは花が好きです。庭にはお母さんが育てたチューリップやユリやコスモスなどが季節を彩って花を咲かせます。

 ゆめちゃんも花が大好きです。お母さんに手伝って種をまいたりお水をあげたりします。

 今年も朝顔がいっぱい咲きました。縁側から朝顔のカーテンが見えます。

 ゆめちゃんは、種をまく時に不思議に思っていました。何故、こんな小さな種から花がいっぱい咲くんだろう。

 お母さんに聞いてみました。そうしたら次のように話してくれました。

「花の種でも、野菜の種でも、どんな種でもあの小さな種の中に花になったり実になったりするいのちを持っているのよ。」

「種の中にあるいのちは、今は眠っているけど、庭や畠にまいて肥料を入れたり水をまいたりすると、眠りからさめて大きくなろうとするの。」

「手足を伸ばすように、まず土の中に根を出して栄養や水を吸収するの。」

「次に芽を出して、お日様の光を浴びて二酸化炭素を吸収するの。」

「そして、どんどん大きくなり葉を出し花を咲かせ実をならせるのよ。」

「へえ、そうなんだ。」

「でもね、いくら種をまいても、肥料をやっても、水をまいても、神様のお働きがなければ、花が咲かなかったり、実がならなかったり、くさってしまったりするのよ。」

「また、神様のお働きがあっても、種をまかなければ、花も咲かないし実もならないのよ。」

「お米は一年で一粒の種籾から二、三百粒になると言われているの、二年たてば数万粒になる、これを一粒万倍と言うのよ。」

 教祖は、ある時一粒の籾種を持って、飯降伊蔵に向かい、「人間は、これやで。一粒の真実の種を蒔いたら、一年経てば二百粒から三百粒になる。二年目には、何万という数になる。これを、一粒万倍と言うのやで。三年目には、大和一国に蒔く程になるで。」と、仰せられた。

「教祖は、人間の行いも種のようなものだと教えて下さったの。小さな行いでも、神様が働けば大きな実となって返ってくるのよ。」

「分かった、種をまかなくちゃね。」