お姉ちゃんになって

 ゆめちゃんの今年のこどもおぢばがえりは、四年生なので初めて小さい子の面倒を見ることになりました。

 今まではお兄さんやお姉さんたちにお世話になっていたのですが、今度はお世話をする側になったのです。

 ゆめちゃんの班は五年生の男の子と、一年生の子が二人、二年生の子が一人でゆめちゃんを含めて五人です。

 こどもおぢばがえりの期間中は同じ班の人は一緒に行動します。

 ゆめちゃんたちは教会からバスに乗っておぢばに向かいました。

 ゆめちやんは二年生の女の子ゆきちゃんと隣り合わせの席に座りました。ゆきちゃんはこどもおぢばがえりは初めてだそうです。

「ゆきちゃん、お母さんと別れてさみしくない?」

 ゆきちゃんは、このこどもおぢばがえりにはおばあちゃんと一緒に参加しました。たった一泊二日の旅ですが、ゆきちゃんは初めてお母さんと離れたのでした。

「うん!おばあちゃんがいるから大丈夫」

と、言っている目はさびしそうでした。

 ゆめちゃんは、ゆきちゃんの気持ちが分かります。ゆめちゃんも去年は、初めてお母さんと別れておぢばがえりをしたのでした。

 バスはおぢばに着きました。詰所のお兄さんやお姉さんたちは「おかえりなさい」と、出迎えてくれました。

「お姉ちゃん、なぜおうちでもないのに、おかえりなさいっていうの?」

 これは昔ゆめちゃんもお母さんにした質問でした。

 ゆめちゃんはお母さんに聞いたことを思い出しながら、ゆきちゃんに話しました。

「おぢばはね、親神様が初めて人間をお造りくださったところなの、わたしやゆきちゃんや世界中の人間のたましいのふるさとなの。」

「ふるさとだから、おかえりない、と出迎えてくれるのよ」

「ここには亡くなったおじいちゃんやおばあちゃんもいるんだって、ぢぢばばがいるからおぢばと言うんだって」

ゆきちゃんは、一年前に亡くなったおじいちゃんを思い出しました。やさしいおじいちゃんでした。

「そうなの、ここにはおじいちゃんがいるの?」

「お母さんがね、人間は亡くなったら、たましいは親神様のもとに帰るのよ、って言ってた。親神様のもとでゆっくり休んだら、またこの世に生まれてくるんだって」

「じゃ、わたしのおじいちゃんもいるかもしれないね」

「目には見えないけどきっといると思うわ」

 こどもおぢばがえりは、ゆきちゃんにとっておじいちゃんを思い出す旅になりそうです。