琴の練習

 今日は、ゆめちゃんはお母さんとお琴の練習をします。

 今度の日曜日に、少年会のおつとめ総会があり、ゆめちゃんはよろづよ八首から二下り目までのお琴に役割が当たっているからです。

 お琴はゆめちゃんが四年生の時から練習しています。お母さんに教わったり、少年会のお泊り会の時に教会の若い奥さんから教えてもらっています。

「おつとめの鳴物はみんな教祖が直々にお教え下さったのよ。こんな話があるの」

 明治十年、飯降よしゑ十二才の時、ある日、指先が痛んで仕方がないので、教祖にお伺いに上がったところ、「三味線を持て」と、仰せになった。それで、早速その心を定めたが、当時櫟本の高品には、三味線を教えてくれる所はない。「郡山へでも、習いに行きましょうか」と、お伺いすると、教祖は、「習いにやるのでもなければ、教えに来てもらうのでもないで。この屋敷から教え出すものばかりや。世界から教えてもらうものは、何もない。この屋敷から教え出すので、理があるのや」と、仰せられ、御自身で手を取って、直き直きお教え下されたのが、おつとめの三味線である。

「おつとめは陽気づとめと云って、心が陽気になり、陽気ぐらしが出来るようにと勤めるのよ」

「だから、間違えないことも大事だけど、自分勝手に琴を弾いてはダメなの。少し間違っても三味線や胡弓と合わせることが大事なのよ」

「琴と三味線と胡弓、そして笛のメロディーが合えばとても陽気な心になるのよ。また拍子木や太鼓など男鳴物が入ると勇んだ心になるの」

「でも私、三味線や胡弓のことは知らないから、とても合わせられないわ」

「だから、地方をよく聞いて、地方の歌に合わせて弾くことが大事なのよ」

「地方はオーケストラで言えば指揮者のようなものね。地方の歌がテンポが速ければ速く弾き、テンポが遅ければ遅く弾くのよ」

「だから地方の役目はとても大事なの。みんなが演奏しやすいように考えて、合わせやすいテンポで歌うことが良いのよ」

「へえ、そうなんだ」

「地方の歌に合わせて、拍子木や太鼓がテンポを取り、琴や三味線がメロディーを奏でると、勇んだ陽気なおつとめが出来るのよ。それは陽気ぐらしを形に表していると私は思うのよ。」

「ゆめちゃんには少し難しかったかな?」