気候変動

 隣りのトメさんがやって来ました。

「ナオじいちゃん、最近の天気はおかしいと思わないか?」

「そうだな、おかしいと言えばおかしいし、おかしくないと言えばおかしくない」

「禅問答じゃないんだから」

「すまん、すまん」

「最近は、気温にしろ雨風にしろ、変化が大きくなっているのは確かだな」

「先月はまだ六月だよ、六月に猛暑日が続くなんて考えられない」

「エアコンを点けっぱなしだよ」

「季節的にも、場所的にも、今までにない異常な状態が続いているな」

「北海道も涼しい場所とは言われなくなってきたからな」

「なんでこんなことが続くんですかね?」

「わしは気象学者でもなく気象予報士でもないから、詳しい事は分からんが、地球が風邪を引いたようなものじゃないかと、わしは思う」

「風邪をこじらせるとやっかいじゃからな」

「異常に高温が続くのは、人間に譬えれば熱が出る事と同じじゃ」

「台風や竜巻はくしゃみや咳が出るのと同じじゃな」

「大雨はどうですかね?」

「異常に汗をかくのと同じじゃないかな」

「わしは、風邪を引いたら汗をいっぱい出す、そうすると次の日は治っている」

「なぜ風邪を引くんですかね」

「教祖は『風邪は身びいきだ』と仰っておる」

「また、地球も人間も同じだとも仰っておる」

「今の世界的な異常気象は、地球の温暖化によるものだと学者は言っているが」

「でも、わしは、世界中の人間の身びいきによるものだと思っている」

「特に、最近は、なんとかファーストと云う言葉が流行っているが、これは身びいきじゃよ」

「そうですか、あっしも身びいきしない様にしなくちゃ」